Vol.51|「相続」|「遺留分の放棄」について|静岡市清水区の遺言・相続相談専門行政書士が概説
コチラでは、遺言書や相続手続きなどについて解説しております。
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遺留分の放棄について
何度も概説している通り、遺言で遺言者が、その有する財産の承継相手を自由に決めることが出来る一方で、「遺留分」という、兄弟姉妹以外の相続人に認められた、遺言によっても奪うことのできない最低限の遺産の取分があります。
例えば、遺言の内容が、相続人の内の1人に遺産が集中している場合には、遺留分権利者は、遺留分侵害額請求権を行使することが出来ます。これにより、侵害された遺留分を取り戻すことが出来ます。
遺留分侵害額請求を起こされると、遺言者の遺志通りの遺言内容でなくなることもありますが、これを対策する方法はあるのでしょうか?
実は遺留分は、放棄することが出来るのです。
そして、遺留分の放棄の制度を上手く使って、相続トラブルを防ぐ事も出来ます。
今回は、「遺留分の放棄」について概説します。
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遺留分の放棄は、基本的には遺留分権利者の自由意思で選択できますが、無制約に認められている訳ではありません。
遺留分の放棄は、それが相続開始前であれば、家庭裁判所の許可が必要になります。
これは、被相続人と相続人との関係によっては、遺留分権利者の自由意思が抑圧され、放棄の強制に繋がることもあり、こうなると民法の趣旨に反する可能性がある為に、家庭裁判所の許可を得なければならないとされています。
家庭裁判所の許可の判断基準は、
・放棄が遺留分権利者の自由意思に基づくものかどうか
・放棄する理由に必要性・合理性があるか
・放棄と引換えに代償がなされているかどうか
になり、これらを考慮して判断されます。
三つ目に、「代償」とありますが、何も渡さずに放棄だけを求めることは出来ません。放棄の見返りに、放棄に見合うだけの何かが必要です。
一方、相続開始後の放棄については、遺留分権利者が自由に放棄することができます。「遺留分を放棄する」との意思表示をすれば足ります。
尚、遺留分侵害額請求権には期間の制限があり、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年以内に行使しなければ、時効により消滅するので、一年間何もしなければ、放棄したのと同じ効果を生じます。
注意が必要なのは、一度遺留分の放棄をすると、基本的に撤回できない点です。
裁判例でも、遺留分放棄許可の審判がされた後に、その判断の基礎となった事情に著しい変化が生じて、許可の審判の維持が社会的実情に合わなくなった場合には、相続開始前に限り認められるとしており、気分が変わった、などの理由で簡単に撤回することは出来ません。
ちなみに、混同されがちですが、「相続放棄」とは違います。
相続放棄は、放棄の申述をすると、初めから相続人ではなかったこととなり、プラスの財産もマイナスの財産も相続しません。また、相続開始前の放棄も認められません。
これに対して、遺留分の放棄は、遺留分のみの放棄をすることで、相続権を失うものではありません。
例えば、長男に事業承継させたいので、遺産の全てを長男に相続させたい。この時、次男が遺留分を主張すると、事業運営に支障が出る・・・などの場合には、遺留分放棄を検討することで、相続トラブルを防止することが出来る可能性があります。
とは言え、放棄すべきかどうか、放棄する・しないで何がどう変わるか、などを自分自身で判断するのが難しい事もあります。
不安がある場合は、専門家に相談することをおススメします。
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今回は「遺留分の放棄」について概説しました。
遺言や相続に関することって、知っているようで知らなかったり、曖昧だったりすることが意外と多いと思います。
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