Vol.72|「相続」|遺言と異なる遺産分割ができる場合|静岡市清水区の遺言・相続相談専門行政書士が概説
コチラでは、遺言書や相続手続きなどについて解説しております。
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遺言と異なる遺産分割ができる場合
「遺言書が出てきました。遺言書の内容は、遺産分割協議に優先すると聞きましたが、遺言と異なる遺産分割はできないのでしょうか?」
この質問に回答します。
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まず、質問にある通り、遺言の内容は遺産分割に優先します。
ただしこれは、原則であって、場合によっては遺言があっても遺産分割協議ができることもあります。
例えば、「遺言執行者の同意がある場合」
遺言執行者について、民法では以下のとおりに定めています。
第1012条第1項
「遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の権利を有する。」
第1013条第1項
「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。」
この為、遺言執行者は相続人の意向に関わらず遺言を執行できます。
しかし、相続人全員及び受遺者が、遺言の内容と異なる遺産分割内容に合意したときは、それに遺言執行者が同意するならば、その遺産分割の内容は有効だと考えられます。
また、遺言執行者がいない場合で、
・遺言通りに遺産分割することが不都合を生じさせる
・遺言通りに遺産分割することで相続人間の争いを生じさせる
・遺言書の不備(自筆証書遺言)により、遺言内容が実現できない
といった場合には、遺言通りに分割するよりも、遺産分割協議をする方が合理的です。
ただし、相続人全員が合意したとしても、それが相続人全員が遺言の存在を知らずに遺産分割協議を行った場合は、遺言が優先されます。
これは、遺言書の存在を知っていれば遺産分割協議をしなかっただろうと考えられるからです。
また、遺言書では遺産分割協議の禁止を指定することができますが、この場合も、相続人全員が合意したとしても、遺産分割をすることは出来ません。
このように、遺言書は遺産分割協議に優先するとされながらも、場合によって遺産分割協議が有効とされるケースがあるのです。
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今回は、「遺言と異なる遺産分割ができる場合」について概説しました。
遺言や相続に関することって、知っているようで知らなかったり、曖昧だったりすることが意外と多いと思います。
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